2024年2月 鬼ヶ城山

場所 鬼ヶ城山
エリア 東北
日程 2024/02/18 〜 2024/02/18
コースタイム

鬼ヶ城の里08:50 ~ 09:40東峰09:50 ~ 10:10西峰10:30
~ 11:20鬼ヶ城の里

コース状況

阿武隈中部のまだ登ったことのない山をと、あらためて古い2万5千分の1の地図を眺めていたら、矢大臣山の周辺に羽山、万太郎山、鬼ヶ城山と引き付けられる名の山を見つけた。矢大臣山は、冬場のトレーニングの山として過去幾度も登っているし今年も13日に登ったばかり。羽山には昨日初めて登った。
というわけで今日は、昨日羽山に一緒に登った仲間と鬼ヶ城山に登って来た。鬼ヶ城山という名から古き伝説や謂われがあるのだろうが、難しいことは考えず、春浅い長閑な山の雰囲気を楽しもうと。
いわきの里鬼ヶ城の駐車場に車を置き、身支度をして歩き出す。鬼ヶ城山登山コース案内板の脇には「鬼ヶ城山登山道入口」と書かれた古く朽ちかけた大きな木柱が倒れており、古き趣が残っている木柱を起こし、登山コース案内板に立てかけて写真を撮り、元に戻してバンガローが並んでいる舗装路を登り始めた。
二月とはいえあたたかな陽光が降り注ぎ、大きな岩が点在する林の中を辿ると、東西コースを分ける分岐に着いた。急坂はあるが短いという東コースをとることにする。分岐を右に進むと雑木林のなかに階段があり、簡易水道のポンプ小屋のある桧の造林地を過ぎると、背丈の高いアセビ林の幅の広い道となった。傾斜は急となり滑りそうな道脇にはロープが張られていた。濡れているときはかなり滑りそうだ。
阿武隈中部の山にはどこへ行ってもアセビが多いような気がする。一度、白く小さな総状の花が満開の阿武隈の山に登り、その美しさに息を飲んだことがある。たしか屹兎屋山だったような気がする。アセビは常緑樹で、冬の無彩色の山には鮮やかな緑で彩を添えてもくれる。
傾斜が緩くなり下笹が現れると、間もなく大岩が出現しそれを過ぎると東峰山頂で三等三角点があり、写真を撮りながらひと休みした。
ところどころにアセビの緑が鮮やかな雑木林の、笹が密生するなだらかな道を西に進むと小さな石祠のある、花崗岩の大岩の西峰山頂に着いた。
北には風力発電の風車が並ぶ万太郎山。その左の木々の枝越しに望まれるのは大滝根山か。東、南方面にも早春の柔らかな日射しの下に、嫋やかな阿武隈の山々が連なっている。仲間の入れてくれたお茶をごちそうになり、風景を眺めながらゆったりとひとときを過ごすし下りにかかった。
相変わらず笹の生茂った雑木林の道を下りてゆくとブナの巨木の案内板があり、笹をかき分け下ってゆくと太さはそれほどでもなかったが、見事な枝ぶりのブナの木があった。しばし見とれてしまった。
けっこう長い下りだと思うころ大岩が現れた。そこが841mの地点か。そこから道は左に折れ下降するようになったが、木々の枝越しに矢大臣山が望まれた。
アセビや大きな岩が点在する雑木林の山腹を捲くように下り、小さな沢の、岩の堆積したところには「マムシ注意」の看板があった。爬虫類が大の苦手としては、やはり阿武隈の山は冬に限ると痛感する。
途中「登山道入口あと2㎞」の看板があったが、明るい雑木林の道をのんびり下り、ヒノキの林に出ると間もなく林道に出た。
さらに広い雑木林の道を下ってゆくと一基の風力発電風車が建っており、間もなく登りの登山道に出合っていわきの里鬼ヶ城へと下った。
鬼ヶ城山などという名からはいかにも凄い形相の、鬼の隠れ家的な険しい山を連想するが、実際には地形図が表すようになだらかな優しい山で、藪のどこかに金棒を置き忘れうろうろ探し回るドジな鬼や、見晴らしの良い岩場の山頂で、蚊に刺されたところをぼりぼり掻きながら昼寝をしている鬼なんて、子供みたいなことを想像するのも楽しい。
時間にとらわれないのんびりとした山歩きができる、そんな阿武隈の山が好きなのである。  (K,M)

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