2021年8月 朝日連峰 三面川水系末沢川彦七沢

場所 朝日連峰 三面川水系末沢川彦七沢
エリア 東北
日程 2021/08/08 〜 2021/08/09
コースタイム

8月8日
駐車スペース8:11出発→柴倉山9:03~24→柴倉沢(入渓地点)10:00~14→末沢川出合10:21 →F1 6m斜瀑11:25→彦七沢出合12:30→幕営地14:10

8月9日
幕営地7:00→7m斜瀑7:25→4m滝と右支沢(水量比2:1)9:22→2段30m滝9:37~10:07→8m滝からの大高巻き10:32~11:45→右支沢出合(標高800m付近)→県境尾根13:56~14:05→沢下降→荒川本流18:38→登山道19:08→針生平駐車
場20:20→駐車スペース20:52

コース状況

8月8日
 針生平登山口から2.5km手前の砂防ダム付近に駐車し、身支度をしているとアブが寄ってくる。砂防ダムの下流には丸太と針金で作られた橋が架かっている。荒川本流の水量が多くないので、橋よりも安全と判断し渡渉する。ゼンマイ道は登山道並みにしっかりついていて、汗だくになって柴倉山に到着。相変わらずアブがうるさい。Sさんから、たも網を使ってアブを捕獲し駆除する方法を伝授される。次の小ピークから尾根を下ると、柴倉沢に降りる。
 柴倉沢を下るとすぐに末沢川の出合で、水量は少なく穏やかな渓相である。出だしの大岩を超えるとしばらく河原歩きが続く。出合から1時間弱でF1 6m斜瀑に着く。これを皮切りにゴルジュと渕が続き、小さく高巻いたりしながら進む。
 F1 6m斜瀑から1時間程で彦七沢出合(水量比3:1)に到着する。彦七沢の沢床は低いが、水量は少なく沢幅も狭くなる。彦七沢に入ってすぐの2m滝で竿を出してみるが、全く当たりがなかった。2mチョックストーン滝をお助けひもで越え、釜を持つ5m滝は登れず、左岸から小さく高巻く。水量比2:1で右支沢を分ける、針生山へ突き上げる沢と思われる。
 直ぐに大木が挟まった門のようなゴルジュとなる。右岸の岩壁は大きく削られ、増水時の水圧が凄まじいことを物語っている。計画では標高540m付近の左沢が出合う付近を幕営地に予定していた。しかし、手前に流木が多く溜まっている幅6m程の砂地の河原があったので、予定を変更しツェルトとタープを張る。沢幅は狭く、両岸が立っているので増水したら一たまりもない。相変わらずアブが多く、たも網で捕獲しながらの宴になる。

8月9日
 朝起きると喉が痛い。ツェルト内に吊るした蚊取り線香にいぶされたせいだろうか。焚火を起こしてお湯を沸かし、力餅入りラーメンを食べて出発する。
 出発して二つ目の2m滝で、早速の泳ぎとなる。20分程で左支沢が水量比1:4で分かれる。当初の幕営予定地だが、スペースが狭くやはり良いロケーションではなかった。そこから直ぐに7m直瀑となり右岸を小さく高巻く。
 その先は3m程度の小滝が続き、側壁が立っており水中突破の連続となる。
 左岸が崩壊し大きな木が沢を塞いでいる所を過ぎると、8m斜瀑となる。手がかりに乏しく滝身右のガリーから直登する。次の4m滝では、右支沢が水量比2:1で分かれる。
この右沢は針生山の東北東にある910mピークに突き上げる沢である。後から振り返ると、他会の記録ではこの沢を詰めることで、910mピークから針生山、県境尾根を経て704mピークから駐車スペースまで約3時間で下山している。しかし、我々はさらに1km上流の右支沢から尾根を乗り越こしたが、その1kmを進むのに3時間を要した。
 さて、4m滝からは相変わらず3m程度の滝を小さく巻きながら進むと、2段30m滝(下段20m上段10m)が出て、樋状でイナズマ型に水が流れ落ちている。水流左のリッジが発達しており、Iさんにリードしてもらい快適に直登する。
 次の狭いゴルジュからの5m滝を越えると15mハの字状2条滝である。傾斜の緩い中間リッジを登る。沢の傾斜が増してきたのか、滝の落差が大きくなり7~8m滝が3つ連続し、写真で見るほど容易ではなく、全て左岸から高巻く。
 3つ目の高巻きから沢奥を見るとさらに大きな滝がかかっているのが見え、おそらく地形図上の滝記号と思われるが、それも含めて1時間以上の大高巻きとなる。途中で1回休憩をとる程で身体負担が甚だしかった。
 やっと沢床に戻ることができ、さらに水流沿いに5つの滝を越えて標高800m付近から右支沢に入ることにする。県境尾根までは標高差200m程である。途中で水は枯れ、スラブと草付きを登り最後は藪漕ぎとなる。1時間20分程かかって県境尾根に着くと台風9号から変わった温帯低気圧による強風が吹き荒れていた。
 県境尾根からの沢の下降については、簡単に記載したい。懸垂下降を12回行い、6mmスリングを全て使い果たした。軽量化のため、いつも携行している6mm補助ロープ10mを持っていなかった。後悔先に立たずである。
 滝はどれも直登できるものではなく、最後の方に35~40mの滝があり、60mロープでは足りずクライムダウンした。
 最後は左岸の尾根に逃げてブナの幹に直接ロープを回して荒川本流に懸垂下降した。既に暗くなっており、ワラジが摩耗していて荒川の左岸に攀じ登るのが大変であった。ヘッドランプを点けてから薄い藪を漕ぎ登山道に出て、さらに2時間弱で駐車スペースに戻ることができた。(Y.T.)

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