場所 | 飯豊山 |
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エリア | 東北 |
日程 | 2022/05/03 〜 2022/05/05 |
5月3日
大日杉小屋6:05→(沢ルート)→標高840m地点で小休止 6:45→夏道(1180m)8:30→地蔵岳9:40~10:10→本社の沢出合10:28~10:45→本山からの尾根(1366m)11:28→本山小屋14:08
5月4日
本山小屋10:45 →ビンカガクチ沢滑降開始 11:00 →ビンカガクチ沢滑降(2105m→1168m) 11:45→御鏡尾根登返し始め12:00→御鏡尾根(1400m)12:40~13:00→御鏡尾根(1682m)13:40~14:05→飯豊本山15:22→本山小屋15:44
5月5日
本山小屋7:30→駒形沢左俣滑降→秋田ノゾミノ平8:10→秋田ノゾミノ平登返し始め(1270m)8:43→ダイグラ尾根(1786m) 9:50→本山小屋11:44~12:24→本社の沢右俣滑降開始12:28→本社の沢右俣(2100m→1128m)→本社の沢・大又沢出合12:53→登り返13:23→地蔵岳14:23~14:45→(沢ルート)→大日杉小屋16:01
飯豊を滑ろう!と天気に恵まれそうなGW祝日3連休を使ってTさんが計画してくれた山行をTさん、Sさんと3人で実施した。
1日目は大日杉小屋から地蔵岳、本社の沢から尾根に取り付いて本山へ登るルートである。地蔵へのルートは3日前に偵察で確認していた沢ルートを使用する。気温が高い日が続いていたので、若干融雪が進んだ感はあるが、沢の源頭まで雪は続いており、尾根を担いで登高するよりは楽に登れる。天気が曇りで暑すぎないのも泊り装備での登高には助けになる。地蔵岳に到着して正面に飯豊を見るが、3日前にはっきりと見えた三国~切合~本山、ダイグラ尾根の稜線は全体的にうっすらとガスが掛かっている。シールを剥がしたら大又沢へ向かって北西方向から沢筋を滑り降り、大又沢との出会いへ、そこから本社の沢へトラバースをする。一部大き目に穴が開いている部分もあったが無事に通過出来た。本社の沢に入ったらシールを付けて登高を開始、登り初めて最初に左岸に現れた枝沢から尾根に取り付く。比較的気温が低かったおかげで雪室が安定しスムーズに取り付くことが出来た。あとは尾根を本山小屋に向けてひたすら登るだけで、最初は天気もよく素晴らしい見晴らしでちょうど本社の沢を滑り降りてくる2人組を横目に見ながら登高していたが、山頂へ近づくにつれてガスが濃くなり近いはずの小屋が影すら見えなくなる。わずかに残っていたトレースも途中で見失い、カリカリになってきた斜面を迂回するようにハイマツの上をラッセルして本山小屋前に到着。予定では10時間程度を見込んでいたが約8時間で14時過ぎには余裕を持って小屋に入ることが出来た。この日は小屋に誰も登山者がおらず、貸し切りの状態だった。小屋に入ったらまずは水を確保する為にスコップで雪を袋へ入れて、飲料用に水作りを行った。夕方にはガスも大体晴れて、空に雲は若干残るものの素晴らしい夕日を拝むことが出来た。夜は食当のTさんが準備してくれたリッツにブルーチーズやオートミール、豚バラ肉の焼肉とアルファ米を食べながら持ち寄った酒を飲んで楽しいひと時を過ごす。
2日目は朝食をラーメンで済ませ、予定では飯豊稜線の南面と北面の2本の沢滑降をすることになっていた。しかし、前日の夜から強風が吹き続け、出発時間の7時から暫く外の様子を伺っていたが本山方面へ移動しようと小屋の盾から身を乗り出すと顔を打ち付ける風が痛くてとても前に進めない。結果もう少し様子を見ようと小屋へ戻り停滞となる。ラジオを聴いたり会話をして外の音が収まるのを待っていたが、10時半くらいに外の様子を見ると、風はそんなに収まっていなかったが他の登山者が登ってきて本山方面へ歩いている。気温が上がったおかげで打ち付ける風の痛みも気にならなくなっていた。すぐに準備をしてとりあえず1本目に予定していた南面のビンカガクチ沢滑降ポイントへ向かう。強風に飛ばされそうになりながらも小屋から雪面が続くポイントまで移動して板を装着、稜線から少し下っていくと風の影響も少なくなって絶好の天気となった。沢の上部は新雪が積り思い雪質で滑りにくさも感じたが、次第にザラメとなり快適に滑降していく。豊実沢との出会いまで約1000m滑降し、そこからシールを付けて御鏡尾根へ取り付いて本山へ登り返す。気温が高いせいで沢から尾根に取り付く急斜面は踏み込んだ雪がずれて登りづらかったが、尾根に取り付いてからはクラックを回避しながら普段では見ることが出来ない位置から西に大日岳、北に本山、東に種蒔と雄大な飯豊を感じながら歩を進める。登り返してから3時間半で本山へ到着、予定通り朝出発していたらこの後北面の沢を滑降してもう一度登り返してくる計画だったが、体力的に難しかったかもしれないなんて言いながら小屋に戻る。この日はほかのパーティーも小屋を利用しており、貸し切りとはならなかったが多少気を使いつつも酒盛りを始める。初日に続いてリッツにこの日はイベリコ豚のパテを塗って食べるという私の普段の生活ではなかなか食べないつまみを味わいながら夕方の時間を楽しむ。夕日が沈む頃にこの日は3人で夕日を眺めに外に出る。風は相変わらず強かったが空は快晴で、飯豊の稜線を照らす夕日が日常生活ではまず味わえない程の感動を与えてくれる美しさだった。山行を計画してくれたTさんも長い山屋人生で一番かもしれないと同じく感動していた。暫く景色を堪能したら小屋へ戻り、他の登山者もいるので20時消灯までの時間を酒と食事で楽しんだ。メインはこの日も肉でTさんお気に入りの豚のカシラを焼いて食べた。私は普段そんなにカシラを食べる機会はなかったが、今回食べてみたら味付けもピリ辛でお酒に合ったのか美味しくて箸がすすんだ。本当ならアルファ米を食べる計画だったが思いのほか腹が膨らんだ為、ラーメンを作って締めに分けて食べる事にしてこの日は20時過ぎには消灯する。
3日目は風も収まり、快晴・高温の条件での行動となった。 小屋に余分な荷物はデポしたまま午前中は1本滑る計画で、駒形沢への滑降ポイントへ移動する。駒形沢を1670m地点まで滑降し、そこから秋田ノゾミノ平へ尾根をトラバースして移動する。クラックが開いている部分を巻きながら秋田ノゾミノ平を滑降、途中までにするか先端まで滑りきるか迷ったが結局先端まで滑り降りた。全体的にザラメで滑りやすかったと思う。シールを付けて正面に見えるダイグラ尾根まで約700mを登り返す。1時間ちょっとで尾根に取り付き、小休止したら本山へ向けてダイグラ尾根の東側の雪面を登高する。振り返れば絶景だが、脇は谷で後ろはやせ尾根の急斜面を板を切替しながら登るのは緊張感があった。本山付近で一度雪面が切れたので板を外して登高し、本山直下でトラバースして小屋へ戻るように再度スキーを装着する。小屋に戻ったらデポしておいた泊り装備をパッキングして、いよいよ本社の沢を下っての帰路に就く。ほ他にも本社の沢を滑りそうなパーティーがいたので、先にシュプールを付けられないように少し急いで滑降の準備をする。滑りを楽しむのは最後の沢になるので、目の前に広がる絶景と広大な沢を堪能しながら大又沢との出会いまで約900mを滑降する。新雪とザラメの部分が混じった雪面で、新雪部を滑ると抵抗が激しく滑りづらい為、ザラメ部を中心に滑っていく。1400mあたりにデブリも発生していたが、30分もかからずに出会いまで滑り降りた。大又沢を越える前にシールを付けて、沢を渡って地蔵岳へ登り返すポイントで小休止、登り返しは先行パーティーと同じルートをとって約1時間で地蔵岳山頂へ到着。正面に見える本社の沢に出来たシュプールを眺めたらシールを外して最後の滑降の準備。融雪も進んだろうから登りで使った沢ルートがつながっていることを祈って滑り始める。尾根から1100mを切ったあたりで沢へ降りて、滑りを楽しむとはいえない斜面ではあったがスキーを使用して移動をしていく。なんとか板に無理をしてもらいながら滑りを進めたが、一か所デブリが堆積してしまったポイントで板を外したり、雪面に開いていた穴が広がって通過がギリギリになった部分があったりと登高時と状況が変わって手こずった。ほぼ滑降を終えて尾根を巻いてトラバースするはずの斜面も雪が無くなっており、最後はスキーをザックへ付けて歩行で小屋へ戻った。下見時よりも30分近く時間が掛かったが、それでも尾根を下った先行者よりは先に駐車場へ戻ることが出来た。
絶景の中滑りを堪能させてもらった飯豊連峰に分かれお告げ、帰りは白川荘で汗を流してから米沢市内でとんかつを食べて栄養補給をして帰った。(J.I.)